【論文掲載】Group Ring-Valued Hopfield Network (NOLTA)

NOLTA に論文が掲載されましたので、簡単に紹介します。オープンアクセスですので誰でもご覧になれます。論文には次のリンクからアクセスしてください。

Group ring-valued Hopfield networks

必要な知識はホップフィールドネットワークの他には群論の初歩のみです。しかも、有限群しか使いません。初学者が躓きやすい正規部分群や剰余群も不要です。入門書ではほとんど扱われていない群環という概念は出てきますが、論文内に必要な情報はあって難しくはありません。

本論文はニューラルネットワークによる連想記憶のモデルを拡張するものです。ホップフィールド連想記憶は実数で構成され、ニューロンの表現は2値でした。複素数値化によって表現が拡張され、画像などの記憶に便利になりました。このように複素数値化は大成功といえるでしょう。その後、何人かの研究者が複素数から更に拡張しようと試みました。最初に思いつくのが四元数でした。その後、実数、複素数、四元数を含む体系としてクリフォード代数が利用されるようになりました。クリフォード代数の次元は\(2^n\)に限定されます。本論文では群環を使って一般次元の連想記憶を提供します。ニューロンの状態は有限個としか仮定していませんので、具体的に状態を決めれば新しいモデルが得られます。

私は本研究を連想記憶として発展させていくつもりですが、他の方向性もあるでしょう。例えば、群環を MLP に適用するのは容易です。もっと広く信号処理一般に活用できるかもしれません。特に卒業論文や修士論文の研究テーマに困っている学生さんは検討されてみてはいかがでしょうか。